金曜深夜は・・・

金曜深夜の人気番組「虎の門」。この番組のスペシャリティな日の企画を見ていると、いとうせいこうという男のプロデュース能力、ひいてはタレントをいじる上での手腕のすごさに敬服する。今週は「ヤマカンセンター試験(答えを見ないでマークシートを埋めてみる実験企画)」と「創作昔話(タイトルと教訓が出され、適当に話を創作する企画)」の企画を行っていた。低予算でかつタレントが力を十二分に発揮する企画。そしてかつての薀蓄のようにゴールデンに進出したらさっと腕を引き、次を用意する潔さ。
 いとうせいこうの企画の王道を行く「創作昔話」のような企画はタレント、特にお笑い芸人たちによるさしずめセッション大会といえる。ある種の緊張感、責任感、そして恍惚感を芸人たちは感じている事だろう。
 他の番組では芸人たちは代替可能の駒として使われてしまっている。いくら仕事とはいえフラストレーションも溜まる事だろう。しかし、いとうせいこうはありきたりの企画を極力廃止し、芸人の潜在的な凄みがここぞとばかりに現れる企画を用意する。芸人も力量がばれるし、駄目であればいとうせいこう本人も傷つく諸刃の剣ー。しかしこれによって自らも代替不可能としているいとうせいこう、さすがは「80年代の帝王」と呼ばれた男だ。